漢方薬局 桃仁の薬草魔女ブログ
甲状腺について
甲状腺の異常が様々な症状を引き起こす原因になっていることがあります。
今回は甲状腺について、簡単にお話をしたいと思います。
見出し
①甲状腺とは?
②甲状腺の病気
③その症状、甲状腺が関係していませんか?
④甲状腺の検査
⑤補足
①甲状腺とは?
甲状腺は甲状軟骨(のどぼとけ)にある蝶が羽を広げたように見える内分泌腺です。
つばを飲み込んだ時に動く部分が甲状腺です。
甲状腺は甲状腺ホルモンを産生し、貯蔵し、放出するという働きを担っています。
甲状腺から分泌されるホルモンは、サイロキシンとカルシトニンがあります。
サイロキシンはアミノ酸にヨードが結合したものです。
サイロキシンの作用は、多々ありますが、その基本は新陳代謝の亢進です。
甲状腺ホルモンの作用
全身 ;基礎代謝量上昇、熱産生
脳 ;脳の正常な発達を促進
心臓 ;心拍数増加、収縮力増強
骨格筋 ;タンパク質の異化(代謝によってエネルギーを作る)
肝臓 ;コレステロールの低下、中性脂肪の低下
腸管 ;糖の吸収を促進
脂肪組織;脂肪分解促進
骨 ;成長ホルモンと共に骨格の正常な発達を促進
※カルシトニン 骨新生作用
②甲状腺の病気
★バセドウ病 ;甲状腺の機能亢進
症状 ; 疲れやすい、動悸、頻脈、心房細動、手足の震え、体重減少、甲状腺の腫れ、
コレステロール値が下がる、汗をかきやすい、暑がり、イライラ、早口、
軟便、下痢、筋力低下、食欲亢進、上眼瞼後退、眼球突出など
★橋本病 ;甲状腺の機能低下
症状 ;疲れやすい、気力低下、寒がり、皮膚の乾燥、徐脈、体重増加、低体温、
無気力、うつ状態、物忘れ、便秘がち、甲状腺の腫れ、コレステロール値の上昇
筋力低下など
バセドウ病、橋本病は良く知られていますが、それ以外にも甲状腺の病気があります。
参考に
★粘液水腫 ;橋本病が進行し著しく甲状腺ホルモンの値が低下した状態、まれな病気ではあるが
命にもかかわる。
★無痛性甲状腺炎 ;甲状腺ホルモンの値が乱れ高くなった後に低くなり、やがて正常値に戻る。
破壊性甲状腺炎が原因、橋本病に合併したり、出産時にも起こりやすい。
甲状腺の産生には問題がないが、貯蔵に問題があり、治療をしなくても
数か月後にはホルモン値が戻る。
★亜急性甲状腺炎 ;甲状腺のウィルス感染、痛みは伴うが治る。これも、破壊性甲状腺炎の一種。
痛みがひどいときは、副腎皮質ステロイドなどが治療に使われたりする。
★妊娠性一過性甲状腺機能亢進症;妊娠初期に胎児がまだ甲状腺ホルモンが作れない時期、妊娠
7~15週にかけて、母体の甲状腺機能が亢進する。
その後は胎児が甲状腺を作れるようになれば、元に戻る。
その他にも、線腫様甲状腺腫、自律性機能性甲状腺結節、甲状腺乳頭がんなどがあります。
③その症状、甲状腺が関係していませんか?
様々な疾患の原因が、実は甲状腺が関係していたということが、多々あります。
例えば、イライラやドキドキなどがあり、更年期症状と思っていたら、甲状腺機能亢進症だったり。
また、やる気がなく、疲れやすく、気持ちも沈み、うつ状態なのかもしれないと思っていたのが
甲状腺機能低下症だったり。
意欲も元気もなく、年齢的にも認知症なのだと思っていたら、これも甲状腺機能低下が関係してたりなど
そのようなことがあります。
以前勤めていた調剤薬局でも、気持ちがイライラ、落ち着かず心療内科にかかられていた方が、甲状腺機能亢進症があったり、またうつ症状が中々改善しない方に甲状腺機能低下がないか、検査をしてみるのも
良いのではないかとアドバイスをしたりしていました。
また、60代始めで、認知症が疑われ、ご主人が落胆されていた方にも、もしかしたら甲状腺機能低下がないか、検査をしてみるようアドバイスをさせて頂いたりしていました。
甲状腺機能低下症、亢進症は圧倒的に女性の方が多いですが、男性ももちろん甲状腺の機能異常が
見られることはあります。
これも以前、勤めていた調剤薬局での事ですが、お母様の薬を毎月受け取りにいらっしゃる男性が
いました。年は50代くらいだろうかと思っていましたが、ある時、お痩せになって、はつらつと薬局
に入ってこられました。
あまりの変わりように驚き、お痩せになりましたねと話すと、甲状腺機能低下が分かり、治療をするようになりましたと話していました。
以前は、少し顔もむくみ、ろれつが回っていないような話し方をする方でしたが、それもなくなり、10歳も20歳も若返ったように見えたものです。
④甲状腺の検査
問診、触診の後、血液検査で、甲状腺ホルモン作用を持つ遊離甲状腺ホルモン、FT3、FT4、及び
甲状腺刺激ホルモン TSHの値を調べます。
FT3,FT4が高く、TSHが低い→甲状腺機能亢進症→バセドウ病を疑う
FT3,FT4が低く、TSHが高い→甲状腺機能低下症→橋本病を疑う
この他、自己抗体や超音波検査などを基にして、ガイドラインに沿って診断されます。
⑤補足
日本は海に囲まれており、他国に比べ、海藻を多く摂る国民です。
海藻などに含まれるヨードは、甲状腺ホルモンを作る材料となります。、
ヨードは多すぎても少なすぎても、問題を起こすことがあります。
橋本病などの病気がある人は気を付けなければなりません。
また、バセドウ病では、ヨードを多く摂ることで、甲状腺ホルモン産生低下を利用した治療もあります。
※ヨードを多く摂ることで、甲状腺刺激ホルモンが、もういらないねと判断し、それにより甲状腺ホルモンが低下します、身体にはこのような微妙な調節機能があるのです。
うつ症状や更年期症状、そして、認知症状など、その陰に甲状腺の問題が隠れていることも、ままあります。気になることがある際は、一度、甲状腺を診てもらうのも必要ではないかと思います。
今回は甲状腺について、簡単にお話をしたいと思います。
見出し
①甲状腺とは?
②甲状腺の病気
③その症状、甲状腺が関係していませんか?
④甲状腺の検査
⑤補足
①甲状腺とは?
甲状腺は甲状軟骨(のどぼとけ)にある蝶が羽を広げたように見える内分泌腺です。
つばを飲み込んだ時に動く部分が甲状腺です。
甲状腺は甲状腺ホルモンを産生し、貯蔵し、放出するという働きを担っています。
甲状腺から分泌されるホルモンは、サイロキシンとカルシトニンがあります。
サイロキシンはアミノ酸にヨードが結合したものです。
サイロキシンの作用は、多々ありますが、その基本は新陳代謝の亢進です。
甲状腺ホルモンの作用
全身 ;基礎代謝量上昇、熱産生
脳 ;脳の正常な発達を促進
心臓 ;心拍数増加、収縮力増強
骨格筋 ;タンパク質の異化(代謝によってエネルギーを作る)
肝臓 ;コレステロールの低下、中性脂肪の低下
腸管 ;糖の吸収を促進
脂肪組織;脂肪分解促進
骨 ;成長ホルモンと共に骨格の正常な発達を促進
※カルシトニン 骨新生作用
②甲状腺の病気
★バセドウ病 ;甲状腺の機能亢進
症状 ; 疲れやすい、動悸、頻脈、心房細動、手足の震え、体重減少、甲状腺の腫れ、
コレステロール値が下がる、汗をかきやすい、暑がり、イライラ、早口、
軟便、下痢、筋力低下、食欲亢進、上眼瞼後退、眼球突出など
★橋本病 ;甲状腺の機能低下
症状 ;疲れやすい、気力低下、寒がり、皮膚の乾燥、徐脈、体重増加、低体温、
無気力、うつ状態、物忘れ、便秘がち、甲状腺の腫れ、コレステロール値の上昇
筋力低下など
バセドウ病、橋本病は良く知られていますが、それ以外にも甲状腺の病気があります。
参考に
★粘液水腫 ;橋本病が進行し著しく甲状腺ホルモンの値が低下した状態、まれな病気ではあるが
命にもかかわる。
★無痛性甲状腺炎 ;甲状腺ホルモンの値が乱れ高くなった後に低くなり、やがて正常値に戻る。
破壊性甲状腺炎が原因、橋本病に合併したり、出産時にも起こりやすい。
甲状腺の産生には問題がないが、貯蔵に問題があり、治療をしなくても
数か月後にはホルモン値が戻る。
★亜急性甲状腺炎 ;甲状腺のウィルス感染、痛みは伴うが治る。これも、破壊性甲状腺炎の一種。
痛みがひどいときは、副腎皮質ステロイドなどが治療に使われたりする。
★妊娠性一過性甲状腺機能亢進症;妊娠初期に胎児がまだ甲状腺ホルモンが作れない時期、妊娠
7~15週にかけて、母体の甲状腺機能が亢進する。
その後は胎児が甲状腺を作れるようになれば、元に戻る。
その他にも、線腫様甲状腺腫、自律性機能性甲状腺結節、甲状腺乳頭がんなどがあります。
③その症状、甲状腺が関係していませんか?
様々な疾患の原因が、実は甲状腺が関係していたということが、多々あります。
例えば、イライラやドキドキなどがあり、更年期症状と思っていたら、甲状腺機能亢進症だったり。
また、やる気がなく、疲れやすく、気持ちも沈み、うつ状態なのかもしれないと思っていたのが
甲状腺機能低下症だったり。
意欲も元気もなく、年齢的にも認知症なのだと思っていたら、これも甲状腺機能低下が関係してたりなど
そのようなことがあります。
以前勤めていた調剤薬局でも、気持ちがイライラ、落ち着かず心療内科にかかられていた方が、甲状腺機能亢進症があったり、またうつ症状が中々改善しない方に甲状腺機能低下がないか、検査をしてみるのも
良いのではないかとアドバイスをしたりしていました。
また、60代始めで、認知症が疑われ、ご主人が落胆されていた方にも、もしかしたら甲状腺機能低下がないか、検査をしてみるようアドバイスをさせて頂いたりしていました。
甲状腺機能低下症、亢進症は圧倒的に女性の方が多いですが、男性ももちろん甲状腺の機能異常が
見られることはあります。
これも以前、勤めていた調剤薬局での事ですが、お母様の薬を毎月受け取りにいらっしゃる男性が
いました。年は50代くらいだろうかと思っていましたが、ある時、お痩せになって、はつらつと薬局
に入ってこられました。
あまりの変わりように驚き、お痩せになりましたねと話すと、甲状腺機能低下が分かり、治療をするようになりましたと話していました。
以前は、少し顔もむくみ、ろれつが回っていないような話し方をする方でしたが、それもなくなり、10歳も20歳も若返ったように見えたものです。
④甲状腺の検査
問診、触診の後、血液検査で、甲状腺ホルモン作用を持つ遊離甲状腺ホルモン、FT3、FT4、及び
甲状腺刺激ホルモン TSHの値を調べます。
FT3,FT4が高く、TSHが低い→甲状腺機能亢進症→バセドウ病を疑う
FT3,FT4が低く、TSHが高い→甲状腺機能低下症→橋本病を疑う
この他、自己抗体や超音波検査などを基にして、ガイドラインに沿って診断されます。
⑤補足
日本は海に囲まれており、他国に比べ、海藻を多く摂る国民です。
海藻などに含まれるヨードは、甲状腺ホルモンを作る材料となります。、
ヨードは多すぎても少なすぎても、問題を起こすことがあります。
橋本病などの病気がある人は気を付けなければなりません。
また、バセドウ病では、ヨードを多く摂ることで、甲状腺ホルモン産生低下を利用した治療もあります。
※ヨードを多く摂ることで、甲状腺刺激ホルモンが、もういらないねと判断し、それにより甲状腺ホルモンが低下します、身体にはこのような微妙な調節機能があるのです。
うつ症状や更年期症状、そして、認知症状など、その陰に甲状腺の問題が隠れていることも、ままあります。気になることがある際は、一度、甲状腺を診てもらうのも必要ではないかと思います。